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前野健太の新宿馬房日記@吉祥寺MANDA-LA2 2016/06/09

音楽

前野健太さんのライブは仕事終わりに見に行くのが何だかぴったりで好きなんだけど、早めに上がりたいと言っていたら休みを頂いたので余裕を持って開場ちょうど頃にマンダラ2に到着した。既にびっしりの列、チケットも完売御礼。先日のテレビ出演の効果?

 

開演ちょうど頃、サングラスにド派手なシャツ(白地にイカリやロープが描かれている、マリンルックというのか??)で一度登場してすぐに引っ込み、「やっぱこっちだね」とサングラスを普通の眼鏡に変更。ティアドロップ型?十条の眼鏡屋で購入したものでフレームの大きさが自慢らしい。マイルス・デイビスもこんな眼鏡、掛けてませんでした?と。後半に掛けては眼鏡すら外して裸眼で歌っていた。サングラス姿の前野さんを最近あまり見ていないかも。

 

ライブの幕開けを飾った曲は『オレらは肉の歩く朝』。え。仕事に行くのがしんどい時、ここ最近いつも聴いていた曲だ。ライブではあんまり聴くことがない曲だからこそ、このタイミングで聴きたかった曲。嬉しい。一曲目が何の曲かというのはお客さんにとっても前野さんにとってもきっと重要なことなんだと思うけど、この日の自分にとって何か物凄く特別な意味があるように感じてしまった。ご褒美みたいだ。この曲を聴いて仕事頑張りました!!

 

この日のライブでは度々、先日のBS朝日『日本の名曲  人生、歌がある』へ出演した話をしていた。前々からライブでは演歌のカバーなどをすることがあったし、「花のように鳥のように」は音源としてもちゃんと出ているけど、今回の件で演歌方面への意識も更に強くなったようで「演歌界のアイドルが山内惠介なら自分は地下アイドルだ」と言ってみたり、五木ひろしさんと2マンがしてみたいと言ってみたり。番組内で“スーパーエンカ”という新しいジャンルの第一人者(?)とされたことが、彼のハートをこんなに燃やしているらしかった。でも前野さんが言うと全部本当になってしまうような気がするし、聞いている方も笑いながらも冗談だと思っていない節があると思う。「今日は〝ロックの日〟ですけど、私はどんどんロックから遠ざかって行きますんで」と、ロックとも決別の宣言。

演歌より更に先(?)、民謡へも意欲的で、三橋美智也さんの「相馬盆唄」という民謡のカバーもしていた。民謡ハイになった前野さん、「民謡ってラリってますよね?ボブ・ディランなんかも対バンとかしたらびっくりしちゃうと思う」と言いながら、『ジャングルのともだち』の冒頭を民謡アレンジで。そしてもう一度仕切り直して歌った『ジャングルのともだち』が、この日のライブで一番ゾクゾクとした。

ライブハウスを飛び出して全く別の空間へトリップしてしまいそうだった。足の床との接地面がぼんやりとして、宇宙空間に放り出されてしまったかのような、自分が今どこに居るのか分からなくなってしまう不思議な感覚。そしてぼんやりとでも確かに聞こえてくるドラムやベース、あらゆるバックバンドの楽器の音。CDで聴いているだけでは平面としてしか伝わって来なかったこの曲が一気に奥行きを持って、立体の物として体感できた瞬間。ライブの醍醐味はまさにこれだなぁと思う。CDとは全く違ったその曲の一面を見つける。CDとは全く違った文脈が生まれる。そしてそれをまた脳内補完してCDで聴く。初めてその曲との距離が縮まる至福の瞬間。

『ジャングルのともだち』はよく歌詞の意味がわからないと言われる事が多いと前置きをして、「日本って亜熱帯みたいなところがあるじゃないですか。だから、雨が降っても傘ささないで、濡れちゃっても良いじゃん、みたいな曲です。」と曲の解説。「ま、誰にも伝わってないでしょうけどね!いんですよ、それで!」と。日本の大半は気候の区分でいうと温帯湿潤気候という気候みたいだけれど、“亜熱帯”はその区分とはまた別物なので、日本も亜熱帯だという事も出来るらしい。ゲリラ豪雨とか、ムシっとした夏の雨に遭うと凄く納得出来る気がする。

 

もし自分が勤めるとしたら、グンゼギンビスドトールが良いと言っていた。3大好きな会社だって。

 

ライブの題名の「前野健太の新宿馬房日記」。大島渚監督の『新宿泥棒日記』が前野さんはあまり好きではなくて、そこから取ったとのこと。馬房、というのは、新宿にある彼のマンションの一室に馬房のように狭い空間があって、そのことを指しているとか。「競走馬は成績が悪ければ肉にされてしまうのに、人間は食っちゃ寝・食っちゃ寝…恵まれ過ぎてますよね。次のアルバムのタイトル、『人間は恵まれ過ぎている』にしようかな。『オレらは肉の歩く朝』、『今の時代がいちばんいいよ』、『人間は恵まれ過ぎている』って、何かもう、凄いですよね(笑)」と次のアルバムについても触れる。ライブでも新曲が次々と出てくることからも分かるように新曲はかなり溜まっている様で、次は収録する曲を厳選していく作業だと言っていた。というか前のライブでもそういう話で、しばらくライブは無いと思うというようなことを言っていたけど実際は月1くらいのペースでライブが続いているし、今後も8月、9月にもバンド編成でのライブを予定しているとのことだった。ライブがあることもアルバムが出ることもどちらも嬉しい事だから良いんだけど!

 

『 春の夜の夢のごとし』、『天草マンボブギ』と競馬関連の歌で盛り上がり、『レモンハート』や『小町通り22時』などの物凄く渋い新曲や、ライブで演奏するごとに深みが増してゆく『人生って』、曲名通りロマンティックに歌い上げる『ロマンティックにいかせて』(ギターに、音を立ててキスしていた!)などを次々に演奏して、気が付けば早くもアンコール。

 

ちなみに今回のリクエスト大会では、あんまり気分ではない曲や前野さん自身のではない曲がリクエストされたからなのか、華麗に流されたりワンフレーズを軽く歌って終わりのことが多かったです。リクエストされる曲数自体少なめ。その中で『マル・マル・モリ・モリ!』を1フレーズだけカバーしてたんですけど、前野さんが歌うと本当になんでも“泣き”が全開の曲になってしまうから、凄いな、と感動してしまった。それにしても懐かしい曲!

 

アンコールでの早着替えもお決まりになって、若草色とピンクと白のキュートなシャツに着替えた前野さん。リクエストのあった『今の時代がいちばんいいよ』など数曲を歌うと再び例の演歌番組に触れて、また出演がしたいので番組に前野さんについての感想メールを送って欲しいとまさにアイドルみたいに必死にお願いをしていた。また、その流れでゆくゆくは紅白にも出演したいので、youtueに上げられた下ネタな曲とかは消しといて下さい。と言ってからの「これ(アコギに付けられたピックアップのシールド的なもの?)抜きますね?あ、抜くってそっちじゃないですよ」⇨「♪失楽園で抜いてた〜」の、完璧な流れに爆笑の会場。

再び、「聞き逃した曲とか本当にないですか?」とリクエストを募るとLOVE、鴨川、マン・ションなど、出てくる出てくる!自分はというと、言いたい曲があったものの声を上げられず。

ちなみにLOVEは歌われなかったんだけどその理由が「『♪愛なんて〜』も『♪おっさんの愛はなんだった』も同じようなもんですからね!」っていうことで鴨川に集約されたのだった。そんなこと言ったら、ほとんどの曲は同じようなものだと思います。(笑)

 

『100年後』『鴨川』と名曲が続き、ライブも終わりかと思えたところで、「最後の曲はピアノで」と前野さんはステージ上に戻ってきた。(アンコール中、一曲歌うごとに客席の奥の方へと進んでいき最終的にほぼ後ろの辺りまで進んでいたのだ、)

 

わたしはわたしの事  分かっているつもり

わたしはわたしの事  本当はよく知らない

だからあなたにときめいたら迷わずにゆくの

わたしを感じたい  生きているわたし

あなたを感じたい  生きているわたし

わたしを感じたい  生きているわたし

あなたでしか感じることができない

生きているわたし

 

 

最後の最後、ピアノで歌われた曲は『生きている私』だった。ずっとリクエストがしたくて、でも出来なかった曲。その曲が聴けるなんて。

『オレは肉の歩く朝』に始まって『生きている私』で終わったこのライブ。私の気持ちが届いたかのような気がして、勝手に胸がいっぱいになっていたのでした。

 

(そういえばシネマヴェーラ渋谷にて、『ライブテープ』の上映をしていました。残るは6/15(水)と6/17(金)の2回。ちびまるこちゃんとの2本立て!スクリーンであの奇跡を改めて。)

 

 

◯セットリスト

オレらは肉の歩く朝
あなたの匂いを覚えてしまったから
伊豆の踊子
春の恋(新曲)
花のように鳥のように(カバー)
相馬盆唄(カバー)
ジャングルのともだち
春の夜の夢のごとし
天草マンボブギ
レモンハート(新曲)
雨の合コン
野蛮なふりをして
小町通り22時(新曲)
僕のパパは共産党員だった
あんな夏
ばかみたい
ロマンティックにいかせて
人生って
ファックミー
青い部屋
防波堤(新曲)
(アンコール)
今の時代が一番いいよ
SHINJUKU AVENUE
コーヒーブルース
18の夏
東京の空
100年後
鴨川
生きている私